この記事はハイパーインフレの基礎と、日本に到来する可能性、そのための準備についての内容となします。
日本がハイパーインフレになるかもしれない、という議論はかなり前からあります。
まずはハイパーインフレが起きる仕組みを、戦前からの歴史をもとに理解しておきましょう。
日本が戦後ハイパーインフレになった原因
別記事「インフレの意味 得をする人損をする人」で、1929年から始まった世界大恐慌の対策として高橋是清は通貨の供給量を増やしたということを書きました。
デフレから脱却するため金本位制を廃止し、通貨発行量を増やすことを可能にしました。
さらに国債をたくさん発行して、しかもそれを日銀に引き受けさせました。
通常は国債は銀行が引き受け、銀行が個人に販売します。
これを日銀が直接国から国債を購入したのです。
この日銀による国債引受が、「日銀100年の歴史における最大の失敗」とされています。
貨幣を発行する日銀が国債を国から直接引き受けるということは、お金を政府に渡すということになります。
でも、それのどこが悪いのでしょう?
国の判断だけでいくらでもお金を刷ることができてしまうのです。
当時はもうすぐ第2時世界大戦が起きるというタイミング。
このため日本は戦争の資金調達のために国債を大量に発行してしまうことになります
1937年から1945年までの国債発行高は1,500億円。
今のGDPで換算すると1,800兆円ぐらいになります。国の予算の18倍にもなってしまいます。
このお金は政府から民間に渡されることになるので、お金の量がどんどん増えていきます。
そして終戦を迎えます。
ハイパーインフレはなぜ起きる?
ここで映画「仁義なき戦い」を思い出してください。
AKB48の向井地美音さんも昨年2019年に舞台で演じていました。
仁義なき戦いは、終戦間もない頃の話です。
あの時代、とにかく物資が少ない。
石油も石炭もなくエネルギーが圧倒的に不足していたから、モノが作れないのです。
でも先ほど言ったように、お金だけはたくさん刷っています。
するとどうなるでしょう?
たとえば大根1本が100円で売っていたとします。
食料は市場に出回る量が少ないから、欲しくても買えない人がたくさんいます。
でもお金は持っている人がいます。
だから俺なら1,000円出す、いや2,000円出すと言う人が必ず現れます。
これで物価が一夜にして10倍、20倍になります。
こうなると貨幣の信用というか、ありがたみがなくなってしまいます。
100円という貨幣は大根1本と同じぐらいの価値があると信用しているから100円で取引されていたのに、100円という価値がわからない状態だと、わからないからできる限り多くのお金をもらっておかないと不安です。
そしてどんどん物価は上がっていきます。
これがハイパーインフレです。
戦後の1945年からの5年間で物価は70倍になりました。
100円だった大根1本が7千円に。
今の日本がなぜハイパーインフレ?
じゃあ、現代はどうでしょう?
政府がお金をどんどん増やしています。
国債もたくさん発行していて、発行残高が初めて1,000兆円を超えました。
これって国の年間予算の10倍に相当します。
戦後と違ってモノは溢れていますが、何かのきっかけ、たとえば原油が高くなったり、作物が天候不順で採れなくなったりした途端、ハイパーインフレにならないとも限りません。
現実に、コロナの問題で一時期AirPodsの輸入が止まり、ネットで高値で取引されることが起きました。
ハイパーインフレになる下地が整っているので、ちょっとしたことでハイパーインフレになってしまうのです。
もし本当にハイパーインフレが来るなら、私たちはどうすればいいでしょうか?
ハイパーインフレへの備えとは?
今のうちに借金をして家を買った方がいいという人もいます。
これはなぜでしょう?
借金はハイパーインフレになると、実質的な価格がどんどん減っていくからです。
たとえば年収500万円のあなたが、1億円を銀行から借りて家を買ったとしましょう。
年収の20倍の家を買ったわけです。
そこにハイパーインフレに襲われ、物価が5年で70倍になったとします。
その5年であなたの給料も何十倍になっているはずです。
なぜならインフレにより企業の売上も大きくなっているからです。
あなたの給料が50倍になっていたとします。
当初は年収500万円だったのが、5年後には500万円×50倍=2億5千万円となっています。
でも銀行からの借入金1億円はそのままです(返済0だとすると)。
年収2億5千万円に対して借入金1億円ですから、年収の4割に過ぎません。
これなら一括で返せます。
これがハイパーインフレに備えるなら、銀行借り入れして家を買っておけ、という理由です。
でもそんな単純な話でもありません。
なぜならハイパーインフレになるなら、利子も大きく跳ね上がります。固定金利ならいいですが、変動金利の場合は返済額がどんどん増えていくわけです。
それに対して自分の給料の上昇はタイムラグがあってあとからきますから、一時的にお金が足りなくなる可能性があります。
一番いいのは、ハイパーインフレが来ないよう適切な経済政策を政府にとってもらうこととです。
いつの時代でも、政治と経済は直結しています。
その意味で日本人はもっと政治に関心を持つべきなのでしょう。
以上、ハイパーインフレについてでした。
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