「K-POPアイドルの破壊力 前半」

日韓 経済の教室

NiziUやJO1など、K-POPプロデューサーによる日本のアイドルが増えています。

またBTSやBLACKPINKなど、K-POPは世界を席巻しています。

このK-POPの特徴と、日本のアイドルとの違いについては、大学の先生方などが多くの論文を発表しています。

ここではそれらに基づいて、K-POPの力の秘密について紐解いてみたいともいます。

モーニング娘。の革新性

合宿をしてデビューまでをドキュメンタリー風に流すオーディション番組はモーニング娘。が最初でしょう。

それまでもスター誕生のようなテレビ番組はありましたが、合宿をして成長するする姿そのものを見せるというのは、テレビ東京「ASAYAN」のモーニング娘。が最初です。

この点については、『モーニング娘。とAKB48のビジネスシステム-その生成プロセスと新奇性・競争優位性-』箕輪雅美に詳しく書かれています。

モーニング娘。とAKB48のビジネスシステム : その生成プロセスと新奇性・競争優位性 | CiNii Research
本稿では,モーニング娘。とAKB48という2つのアイドルグループをビジネスシステムとして捉えることで,それら の2つのグループが高い経済的成果を上げ続けている理由を分析する.モーニング娘。に長期に渡る成功をもたらしたのは,アイドルグループをブランドとして捉え,企業が新製品を投入することでブランドの長期に渡る生存を図るよ...

モーニング娘。の革新性は、グループ名とタレントを分離可能な存在にしたこと。つまり<アイドル名のブランド化>に成功したことだ、と述べられています。

モーニング娘。が 15 年にも渡り,一線で活躍できた理由をテレビに求めることはできない.テレビへの過度の露出は,視聴者の飽きを生み,むしろ短命化を促進するからである.モーニング娘。に異例ともいえる長寿をもたらした最大の要因は,アイドルグループの「ブランド化」にある.

一期生、二期生、三期生とどんどんメンバーを増やし入れ替えていくことで、モーニング娘。というブランドは永遠に続くことになりました。

それまでのアイドルグループは、グループ名とメンバーはほぼ固定されていました。ミーとケイでなければピンクレディーとは呼びません。

それをモーニング娘。は覆したのです。

ネットワーク効果によりAKB時代到来

さらにもう一つモーニング娘。には革新性があります。

それはセンターを1曲毎に入れ替えるシステム確立したことです。

これについては『アイドル・エンタテインメント概説~「デジタル・ディスラプション」が迫るアイドル像~』植田康孝に記載されています。

アイドル・エンタテインメント概説(1)〜「デジタル・ディスラプション」が迫るアイドル相転移〜 | CiNii Research
P(論文) 物事が変化する時には,予想を超えて急速に非連続的に変化することがある。物理学で言う「相転移」に相当する時代転換である。アイドルの世界における「相転移」は,メディアの変化をきっかけとして生じた。人工知能(AI),情報通信などが急速に発展する中で,アイドル・エンタテインメントも予想を大きく上回る速さで進展してい...

エースがずっと 1 人であれば精神的に圧し潰されるが,グループが一息付いて長生きする秘訣ともなっている。そして,競争を乗り越えたメンバーは芸能界で生き抜く強い心を持つことに成功する。

さらにSNS時代となり、アイドルグループはAKB48の時代となります。

AKB時代は、デジタル世代による「ネットワーク外部性」によってアイドルグループが拡大化していきました。

ここで「ネットワーク外部性」というのは、お互いに知り合いではないファン通しが、SNSなどで情報を拡散すると、その情報を求めてまた新しいファンが集まり、これが好循環をなしてファン数がどんどん肥大していく効果です。

韓国に渡りオーディション共和国へ

そして時代はさらに進み、モーニング娘。から始まったドキュメンタリー風オーディションが韓国に渡ります。

今や韓国は「オーディション共和国」と呼ばれています。

しかも日本のオーディション番組とは異なり、みんなで試練を乗り越えていくだけではなく、ダメなメンバーは落とされるサバイバルオーディションなのです。

このことは『K-POP 新感覚のメディア』金成玟に詳しいです。

K-POPはデビュー前に練習生としてレッスンを受けるのも特徴です。

練習生としての期間は平均5年、練習生一人にかける費用はおよそ2000万円といわれています。

この辺は『KARA、少女時代に見る「韓国の強さ」』朴 チョン玄に詳しく書かれています。

この費用は事務所が負担しますから、デビューさせて投資を回収しなければなりません。

アイドルは投資商品なのです。

次回は、K-POPの強さについて触れたいと思います。

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