究極のエコバッグはキノコ!? エルメスから

手に持つキノコ 経済の教室

VIPの代名詞といえば、時計ではパテック・フィリップやロレックス、ワインで言えばロマネ・コンティ、そして鞄ではバーキンで有名なエルメス。

そのエルメスがキノコで作ったバッグを発表しました。

キノコの菌糸体が私たちの生活を変えるかもしれないということについて解説します。

高級バッグはキノコで作る

従来のバッグの原材料と言えば、牛革ですね。

しかし牛革はサステナブルな素材とは言えません。

動物愛護も問題もありますが、それに加え、牛が出すメタンが地球温暖化に悪影響を及ぼすからです。

メタンは二酸化炭素に次ぐ地球温暖化の原因とされており、大気中のメタン濃度は18世紀の産業革命のときから比べると150%も上昇しています。

世界のメタン放出量は過去20年間に10%近く増加 主要発生源は、農業及び廃棄物管理、化石燃料の生産と消費に関する部門の人間活動|2020年度|国立環境研究所
国立環境研究所では様々な環境研究に取り組んでいます。

これでは世界中で起きている干ばつや豪雨という異常気象を止めることができません。

世界の平均気温上昇を産業革命前から比べて1.5度以内に抑えるという「パリ協定」を実現するためにも、メタンを減らさなければならないのです。

つまり、バッグで牛革を使っていると、そのために牛を育てなければならず、それがメタンを増やすことでパリ協定に反している。

だからバッグに牛革を使うことの是非が問われる時代となっているのです。

しかも世界のVIP達は少しぐらい価格が高くても、よりサステナブルなものを買う傾向にあります。

そこでエルメスは、「ヴィクトリア」という鞄のシリーズに、キノコを原料として用いた新作を発表しました。

「エルメス」が“キノコ由来の人工レザー”を米国の新興企業と開発 | WWDJAPAN
「エルメス(HERMES)」はパリで行った2021-22年秋冬向けの展示会で、米国のスタートアップ企業のマイコワークス(MYCOWORKS)と開発した、“きのこを原料にしたレザー素材を用いたバッグ“ヴィクトリア”を発表した。

菌糸体の正体

キノコのどの部分を使ったかというと、菌糸体という部分です。

菌糸体とは、土の中で成長する糸のような繊維状の物質です。

実は私たちが食べるキノコというのは、この菌糸体の果実みたいなものなんです。

リンゴやブドウは木の枝から実りますが、菌糸体は土の表面のすぐ下で木の枝のような役割をして、キノコという果実を産み出しています。

キノコは果実だったんですね。

そのキノコを産み出す菌糸体から、牛革と同じような合成レザーが作れるようになりました。

しかも菌糸体から作った合成レザーは、独特な艶のある柔らかくて丈夫なものだということです。

近い将来、タンスの扉を開けるとキノコのバッグだらけ、という世界がやってくるかもしれません。

スニーカーもキノコ

そしてキノコはスニーカーにも用いられようとしています。

たとえばアディダスの定番商品「スタンスミス」

スタンスミスも菌糸体でつくったレザーを使用した製品「スタンスミスマイロ」を来年発売予定です。

Stan Smith Mylo™ | スタンスミス マイロ | 【公式】アディダスオンラインショップ -adidas-
【adidas公式】Stan Smith Mylo™(スタンスミス マイロ)はキノコをベースとした素材を使用したアディダス最新のコンセプトシューズ。【アディダスオンラインショップ】

ただエルメスのバッグと違って、スニーカーは大量に作らなければならません。

ですからいくら菌糸体のレザーがサステナブルだといっても、その量を十分に確保できるかが問題となります。

それに従来の素材と同レベルの快適性とか、耐久性の基準を満たす必要もあります。

しかし大丈夫です。

菌糸体から作られる繊維は非常に丈夫です。

しかも菌糸体は数週間単位で育ちます。

なんとも理想的でサステナブルな素材ですね。

建物もキノコ

しかも菌糸体はレンがのような建築素材にも使われはじめています。

たとえば古い家を取り壊して新しい家を建てる場合、取り壊した廃棄物はほとんどリサイクルされません。

でも菌糸体で作った建築素材を使っていれば、取り壊したものを分解して、再度利用することができます。

キノコで作った建物
なんとも童話的なお話ですが、それが実現しているのです。

サーキュラーエコノミー

使い捨てではなく、何度も再利用する循環型の経済のことを「サーキュラーエコノミー」といいますが、キノコの菌糸体は、まさにサーキュラーエコノミーの救世主!

サーキュラーとは円形とか循環などという意味です。

安いものを大量に消費して使い捨てるという社会は、ここわずか100年ぐらいの習慣です。

それ以前、たとえば日本の江戸時代なども、いいものを長く大切に使って、ダメになったとしても再利用するという、生活様式でした。

キノコのおかげで、私たちは元のサステナブルな生活に戻ることができるかもしれません。

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