アイドルや画家などアーティストの参入が相次ぐNFT。
その未来像となぜアーティストが興味を持つのかを解説。
記録簿でしかないNFT
そもそもNFTって何だ、という問に一言で答えようとすると、それは「記録簿です」になります。
たとえば世界に一つしかないあなたが描いたデジタル・アート001というNFTがあったとします。
この作品をあなたはBさんに譲渡した、という「移転情報」をNFTは記録しているにすぎないのです。
ただ一つ特徴的なのが、その譲渡したという情報に付随して、デジタル・アート001の「リンク情報」があることです。
デジタル・アート001のデータはどこかのサーバーに保存されています。
このサーバーのアドレスを格納できるのが、NFTの特徴です。
なおIPFSなど特定のサーバーに保存しない方法も確立されていますが、これについてはこちらを参照してください。
デジタル的に保存できるなら何でも
アドレスを格納することで、そのNFTに書かれている所有者が、デジタル・アート001の真の所有者であることを証明するのが、NFTの役目です(法律上の所有権とは別ですが)。
アドレスを格納するわけですから、その対象はデジタル・アートのような画像には限りません。
文書でも、音声でも、動画でも、デジタル的に保存できるものなら何でもNFTになります。
たとえばTwitterの最初のツイート。
「just setting up my twttr」
という一文。
これがNFT化され、なんと3億円で落札されました。

さらに音声メディアのVoicyが音声NFTを立ち上げることを表明し、先行販売されたVoicy代表の最初の配信音声NFTが、やっぱり3億円で売れました。

これならあなたの声も録音してNFTで販売したら・・・。
ブロックチェーン的な新しい試み
NFT専用の楽曲を用意して1枚限定で販売するという試みも、日本のAmPm(アムパム)が2021年3月に実施しました。
アメリカのOpenSeaというマーケットプレイスを使った試みです。
今後はデジタルデータを単純にトークン化して販売するだけではなく、ブロックチェーンのメリットを使った面白い仕掛けも出てくると考えられています。
たとえばこんなことも可能です。
・一般の人が作詞作曲をして楽譜をNFTで公開。
・ブロックチェーンだから著作権は守られている。
・そのNFTにあるアーティストが共感して、その曲を歌った音声データを追加。
・そのNFTがいきなりプラチナトークンとなり、高値で売買されるようになる。
・ブロックチェーン上でいくらで販売されたかも記録されるので、販売額の数%は漏れなく最初の作詞作曲者に配られる。
アティストに優しいNFT
こんな風に、NFTはアーティストに優しいシステムとも言えます。
しかもセカンダリーマーケットでもアーティストにお金が入るシステムを作ることも容易です。
私のような凡人の目ではとても価値がわからないような現代アートが、もの凄い価格で売れたという記事をよく目にしますが、これはほとんどセカンダリーマーケットでのお話です。
つまりアーティストの手から離れて作品が転々流通しているときの価格なんです。
たとえばエルズワース・ケリーというアメリカの現代アーティストが描いた緑の丸を描いただけの絵。
その単純な絵が1億5千万円で販売されました。
下記サイトで確認できます。

でもこの金額は所有者がサザビーズのようなオークションに出品して落札した額であって、多くの場合一銭もアーティストには入りません。
NFTの魅力は、このセカンダリーマーケットでもロイヤリティー収入を自動的にアーティストに支払う機能を持たすことができることです。
それはNFTがブロックチェーンだからです。
NFTが誰かに移転されたらその売買額(ETHイーサの量)のたとえば10%を、アーティストに振り込む、というプログラムを組み込むことができるんです。
こういうのをスマートコントラクトといいます。
NFTの機能に組み込んでしまうので、確実に自動で10%振り込まれます。漏れがありません。
だからアーティストにとっては、NFTは美味しい存在なんです。
このことはアーティストだけではなく、いろいろなIPをもっている企業にも魅力的です。
このためゲーム会社のセガなど参入が相次いでいます。
セガは過去に発売したゲームの映像やBGMをNFTにして発売すると発表しました。
double jump.tokyoというベンチャー企業のNFT技術を使ってこの夏にサービスインします。

ますますNFTから目が離せません。
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