コロナ禍で家計簿をつける人が増えたといいます。
この家計簿という習慣、実は世界ではあまり根付いていません。
この記事では家計簿の起源からその効用と限界について解説します。
家計簿の習慣はどこから来た?
日本人は家計簿をつけるのが大好きな国民です。
最近ではインスタで自分の家の家計簿を公開している人もいます。
家計簿は、収入と支出を管理するための帳簿・ノートです。
特に支出を管理して、無駄をなくすための管理簿です。
もったいない、とか、無駄をなくす、ということが大好きな日本人向きのツールといえます。
この家計簿をつけるという習慣がこれほど普及している国は、日本以外にはないと言われます。
では日本ではいつ頃から家計簿をつけることが始まったのでしょうか。
今日本で使われている家計簿の原型は、婦人之友社を設立した羽仁もと子さんが考案し、1904年、明治37年に雑誌に発表されたものです。
いまでも「羽仁もと子案家計簿」として発売されています。
そしてこの羽仁もと子案家計簿が、実質的に世界初の家計簿じゃないか、ともいわれています。
家計は妻がするもの?
羽仁もと子さんは、「夫は妻に全収入の管理を任せるべきだ」と主張していました。
日本では家計の管理は妻がするもの、という感覚が今でも残っている気がしますが、この主張が受け入れら浸透したからでしょう。
そしてこの羽仁もと子さんの運動が、日本に家計簿を普及させる、特に女性が家計簿をつける習慣を一般化した要因と考えられています。
昭和に入り太平洋戦争が始まると、一時期家計簿は廃れたようですが(紙が貴重であったため)、戦争が終わると、「普通の生活に戻るためにも家計簿をつけよう」と雑誌でさかんに運動したことから、家計簿が復活しました。
家計簿はプールの排水溝を監視するようなもの
そして今は便利な家計簿アプリもたくさんあります。
レシートを写真で取り込むだけで自動集計してくるような優れものもあります。
しかし紙の家計簿も健在です。
もちろん2021年度版の「羽仁もと子案家計簿」も発売されています。
家計簿は、ようはプールの水が排水溝から出ていくのをウオッチしているようなものです。
蛇口から水をプールに入れますが、排水溝から水が出て行ってしまうので、プールの水が減らないよう、なるべく排水溝の穴を小さくしようとするものです。
プールに水を入れる蛇口が収入です。収入の蛇口はそんなに数がないのが普通でしょう。通常は給料という蛇口だけか、副収入があっても多くて3つぐらいです。
水が出て行ってしまう排水溝は、支出です。支出には食費とか交際費とか水道光熱費とか、こちらはいろんな種類があります。
排水溝はたくさんあるわけです。
たくさんあるので管理するのが大変。だからノートにつけて見える化しようというのが家計簿なんです。
つまり家計簿で管理するのは、プールの水が出て行ってしまう排水溝がメインです。
丹羽もと子案家計簿では、排水溝である支出をかなり詳しく分けています。
税金、社会保険費、主食費、副食物費、調味材料、光熱費、住居家具費、衣服費、教育費、交際費、教養費、娯楽費、保険・衛生費、
家計簿に本当に必要なもの
でもここで家計簿の本来の目的をもう一度考えてください。
何のために家計簿をつけるのか?
プールの排水溝を眺めていたいからですか?
違いますよね。
本当に大切なのはプールにどれだけ水がたまったかです。
排水溝だけ一生懸命ウオッチしていても、肝心の水がたまった量がわからなければプールの管理になりません。
プールにたまった水は、家計の資産です。
収入と支出だけではなく資産という残高を同時に管理できてこそ、家計簿が家の財産を守るためのツールとなります。
この本来の目的を実現できる家計簿とはどんなものか?
これについは、別記事でご紹介します。
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