ClubhouseとRobinhood 新しいアプリが世界を変える?

アプリ 経済の教室

今回は巷で大流行の音声アプリClubhouseと、大騒動の渦中にある証券アプリRobinhoodという2つのアプリについて解説します。

日常に溶け込んだInstagram

YouTubeやInstagramなど、動画や画像アプリは日常の一部となりました。

私が最近参考にしているのが「りょうくんグルメ」です。

ここの「推し活カフェまとめ」という記事に載っていたToch and Go Coffeeは実際に使わせて頂きました。

Instagram

Instagramはマーケティングの世界では今や欠かせない存在です。

インスタ映えするように改装したサンリオピューロランドが大人気になっているのもその証拠ですね。

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音声アプリが熱い!

さらにここに来て、音声アプリが熱くなっています。

日本発のvoicy、stand.fm、Radiotalkだけでなく、韓国のspoon、中国のhimalayaなど種類も増えています。

いずれも個人が自由に自分の音声をアップして(voicyは運営から認められて人だけ)、誰でもその放送を聴くことができるというアプリです。

電車や車の中のように、音声だけの方がいいというシチュエーションは、一日の中でも結構あります。

私もvoicyで「えんとつ町のブペル」が好評な西野亮廣さんや、教育系YouTuberとして有名なイケハヤさんの声をほぼ毎日聞いていました。

ある分野ですぐれた人の自由なトークを聞く楽しみは、TOKYO FMのような既存のラジオ局にはない趣があります。

Clubhouseは音声SNS

その中で、今年に入って急に話題となったのがClubhouse。

みんなで会話をするというのが特徴の音声アプリです。

全てライブで、会話の録音は原則禁止となっています。

運営は音声を録音している、そのデータが中国に漏れる可能性があるなど、いろいろ問題点も出てきましたが、なぜか日本では大流行の兆し。

TechCrunch
TechCrunch | Reporting on the business of technology, startups, venture capital funding, and Silicon Valley

アメリカのベンチャーが開発したアプリですが、中国、日本などのアジアから人気に火がついたのも特徴的です。

今年になってマーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクが登場し、アメリカでも注目されるようになりました。

使い方は簡単。
モデレーターと呼ばれる人が、たとえば株式投資についてなど何か一つのテーマを話すためのroomを開きます。
モデレーターの人から指名されたspeakerという人達が話をそのテーマについて話をします。
それをaudienceとしてみんなが聞く、という構図。

テーマは固いものから、たとえば自分たちの推しがでているテレビ番組、ラジオ番組を聞きながらみんなで盛り上がる、などというエンタテインメントの新しい楽しみ方のものまで多種多様です。

オンラインでみんなで盛り上がれる、それがClubhouseが流行る理由でしょうか。

コロナでたくさんの人で集まることができない状況だからこそ、という面もあるかもしれません。

Clubhouseで気をつけるべき点

Clubhouseは招待制なので、すでにメンバーになっている人から招待されないと入れません。

現在のところiPhoneしか対応していません。
Androidの人はしばらく待つ必要があります。

一つ気になるのが、ビジネス関連のroom。

ビジネスや投資などについて意識が高い人達が集まって話をすることは非常にいいことだと思いますが、法律や税務といった本来専門家でなければアドバイスできないような部分まで話が及ぶことがあります。

あくまで個人的な意見を述べているだけだと、聞く方も割り切る必要があるでしょう。

ポイントは民主化?

音声を発信するメディアとしては、少し前まではラジオしかありませんでした。

私がAKB48総監督向井地美音さんと二人でお送りしている「ジュグラーの波~澤と美音のまるっと経済学~」もそうですが、従来のラジオは、ディレクターのような第三者が存在して成り立っていました。

ディレクターとの協議により放送内容が決まり、台本も何人もの人の目が入り、収録も複数の人により管理され編集されます。

それがClubhouseやstand.fmのような音声アプリによって、個人が誰でも自分だけで、自分以外の他人に縛られることなく、しかもたくさんの人に対して発言できるようになってしまいました。

これは<情報発信の民主化>、<情報発信のトラストレス化>とも言えます。

トラストレスtrustlessは、ブロックチェーンの説明で必ず出てくる用語です。

ブロックチェーンは、銀行や行政のような信頼の置ける第三者がいなくて、金銭情報と言った重要な情報を管理運営することができるシステムです。

このため、信頼の置ける第三者さえ不要、という意味でトラストレスな仕組みと表現されます。

 

※ブロックチェーンについてはこちらの記事も

音声アプリは、誰でも自分の声を発信できるという点で、まさに<情報発信のトラストレス化>といえます。

Robinhoodを使った民衆の抵抗

音声アプリだけではなく、証券アプリという金融アプリにも<民主化>の潮流が来ています。

それがアメリカの証券アプリ、ロビンフッドRobinhood

Robinhoodは、売買手数料が無料の証券アプリです。

Robinhoodを使って、ヘッジファンドを打ち倒そう!という騒動が起きました。

ゲームストップ騒動」です。

アメリカのニューヨーク証券取引所に上場している「ゲームストップ」という会社の株価が、今年2021年の1月に突然急上昇しました。

ゲームストップ【GME】:株価チャート - Yahoo!ファイナンス
ゲームストップ【GME】の株式チャート推移をご覧いただけます。Yahoo!ファイナンスでは株価速報、チャート、ランキング、ポートフォリオ、ニュース、掲示板など投資判断に役立つ情報を掲載しています。

ヘッジファンドにひと泡吹かせてやろう、という個人投資家たちがゲームストップ株式をRobinhoodを使って買いあさったのです。

Robinhoodは手数料が無料なので若者を中心に人気がありますが、そのRobinhoodユーザーたちがヘッジファンドを打ち負かそうとしたのです。

株式というのは、安く買って、値上がりしたら売却して利益を出す、というのが普通の手法です。

しかしヘッジファンドは、「空売り」と呼ばれる手法で株価が下がると儲かるという取引を好んで使います。

ここの株価は必ず下がる、という銘柄の株式を借りてきて今の株価で売却し、実際に株価が下がったら買い戻し注文を入れて差額を儲ける手法です。

たとえば株価1,000円の株式を空売りして、株価が800円と下がったら買い戻すと、200円の利益ができます。

このような手法で、リーマンショックの時に莫大な利益を稼いだヘッジファンドとして「ポールソン&カンパニー」が有名です。

そもそもヘッジファンドというのは、金融機関などの機関投資家や超富裕層が出資するファンドで、空売りなどの手法を駆使して市場が上がっても下がっても利益を追求することを目的としたファンドです。ヘッジhedgeは「避ける」という意味ですから、相場が下がっても損をするのを避ける、といった意味からこう呼ばれます。

このヘッジファンドは、昔で言えば特権階級の貴族のような人達しか出資できないので、民衆から言えば不当に稼ぐ憎き敵のような存在です。

そんな憎きヘッジファンドが好む空売り。その欠点は、株価が上がれ挙がるほど無限に赤字が膨らむことです。

通常の買って売る<現物取引>は、購入した価額以上の損が出ることはありません。

しかし空売りの場合、株価に理論上の天井はありませんから、上昇するだけ損が膨らみ投資金額の何倍もの損が出る可能性があります。

今回のRobinhoodを使った騒動では、ゲームストップ株式の株価は短期間で20倍にもなりました。

これによりゲームストップ株を空売りしていたヘッジファンド「メルビン・キャピタル」は、今年1月の運用成績が△53%まで落ち込みました。

メルビン、1月の運用成績マイナス53%-ゲームストップなど響く
ヘッジファンド運営会社メルビン・キャピタルはゲームストップなど10余りのポジションが響き、1月の運用成績が約53%のマイナスとなった。オンライン掲示板「レディット」上で動機付けられた個人投資家が仕掛けたショートスクイーズの波にのみ込まれた。同社の成績に詳しい関係者が明らかにした。

民衆が抵抗してヘッジファンドに損をさせることに成功した、と一瞬見えましたが、その後Robinhoodがゲームストップ株の取引制限をするなどして、株価は暴落。

多くの個人投資家も損をしてしまう結果となります。

Robinhoodはなぜ手数料無料?

そんな騒動を起こしたRobinhoodですが、なぜ売買手数料は無料なのでしょうか?

日本でもそういうアプリが出てくるのでしょうか?

しかしアメリカと日本の株式市場の環境が違うので、その可能性は低いでしょう。

アメリカの株式市場と言えば、ニューヨーク証券取引所とNASDAQが有名です。

しかしこの2つの取引所が占める取引高シェアはたった2割と言われます。

アメリカには2つの取引所以外でも、株式を<取引する場>がたくさんあるんです。

たとえば、BATSなどの新興証券取引所や、証券会社による取引所外の取引など、<取引する場>が多様化しているのがアメリカの特徴です。

そして多様化していると言うことは、競争が激しいと言うことを意味しています。

競争が激しいので、どの<場>も多くの注文をうちに欲しいと思います。

ここから、注文をくれるならキックバックしてもいい、という発想がでます。

つまり、Robinhoodは、顧客からの注文を特定の<場>に流すことによって、キックバックをもらうというビジネスモデルなんです(それ以外の収益源もあり)。

日本では東京証券取引所の1強が続くでしょうから、Robinhoodのような取引無料証券アプリが出てくることは、少なくとも直近は難しいでしょう。

ただアプリにより全世界的な民主化、トラストレス化が進んでいることは確かです。

今後どのようなアプリが出てくるのか、楽しみです。

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