それ必要経費として落ちる?落ちない? わかりやすい確定申告の初歩

確定申告 経済の教室

確定申告の時期になりまた。令和3年(2021年)の今年は申告期限が4月15日まで延長されます。

フリーランスや副業をもつ人が増えている昨今。
確定申告で悩んでいる人も多いはずです。

そこでこの記事では、確定申告の初歩と、節税に欠かせない必要経費の考え方について解説します。

確定申告の変更点-基礎控除

確定申告の制度として、今年はいくつか変更点があります。

大きな変更点としては、「基礎控除」の額です。

基礎控除というのは、所得から引きこことができる特別な金額のこと。

この基礎控除が、従来は一律38万だったのが、所得の額によって段階的な金額となります。

<旧基礎控除額>

一律38万円

<新基礎控除額>

所得の額:2,400万円以下・・・・・・・・48万円

     2,400万円超2,450万円以下・・32万円

     2,450万円超2,500万円以下・・16万円

     2,500万円超・・・・・・・・・0円(適用なし)

 

所得が2,400万円以下の人は、控除できる額が38万円から10万円増えたので、その分税額が下がります。嬉しい変更です。

これに対して所得が高い人にとっては厳しい変更となりました。

上記の表を見れば分かるように、所得の額によって段階的に基礎控除額が減る仕組みとなりましたが、段階的と言っても50万円という狭い金額での刻みです。

所得が2,500万円付近の人は、きっとハラハラすることになるでしょうね。

確定申告の変更点-青色申告特別控除

大きな変更点の2つめとして、「青色申告特別控除」が挙げられます。

青色申告特別控除は、収入や経費といった会計の記録を、一般的な簿記の方法(複式簿記)で記録している場合に、収入から控除できる特別な金額のことです(その他要件あり)。

freeeや弥生会計といった会計ソフトを使って記録していれば、この青色申告特別控除を使うことができます。

自分自身で伝票や仕訳帳に記録し、そこから集計しても青色申告特別控除は使うことはできますが、そんな面倒なことをしている人はまずいないでしょう。
手書きでは記録が正確かどうか検証するのも手間ですから、会計ソフトは必須です。

この青色申告特別控除は、従来は最大65万円でした。

最大、というのは、収入から必要経費を引いて計算される「所得」の額が、65万円以上であれば青色申告特別控除として65万円を控除できますが、「所得」が65万円未満だと、「所得」の額までしか控除できないという意味です。

つまり青色申告特別控除を使ってゼロ以下にはできないということです。

たとえば収入300万円、必要経費が200万円のケースでは、収入300万円-必要経費200万円=100万円と、青色申告特別控除前の所得の額が100万円となりますから、ここから65万円を控除して35万円が所得となります。

これに対して、収入300万円、必要経費250万円のケースでは、収入300万円-必要経費250万円=50万円と、青色申告特別控除前の所得の額が50万円となりますから、ここから青色申告特別控除として引くことができるのは、50万円までとなり、所得は0円となります。

この青色申告特別控除が、一律65万円から、次の2段階になりました。

<新青色申告特別控除>
e-Taxで電子申告する場合・・・65万円
紙で申告する場合・・・・・・ 55万円

電子申告を優遇する制度となったわけです。
ようは紙を使わず効率化しましょう、ということです。

紙での申告は、作る方も、それを受け取って処理する税務署側も、大変な労力を必要とします。
インターネットからの電子申告なら効率を上げることができるので、なるべく電子申告を使ってくださいという趣旨です。

なお、電子帳簿保存をしている場合も65万円となります。

そのほか変更点の詳しい内容は、国税庁のホームページを参照してください。

税制上の主な変更点:令和2年分 確定申告特集
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確定申告の基礎

では、そもそも所得税の税額というのは、どのように計算するのでしょうか?

その計算過程を、ここで簡単に説明します。
初心者向けの説明なので、語句など厳格な専門用語を使っていませんのであらかじめご了承ください。

所得税の計算は、大まかに次の3ステップです。

①収入-必要経費=所得
②所得-所得控除=課税所得
③課税所得×税率=税額

収入というのは、取引先への売上などです。
必要経費というのは、売上をあげるためにかかったコストのことです。
収入から必要経費を引くと「所得」が計算されます。

収入」と「所得」というのは、このように違う概念なんです。
混同せずに使ってください。

さきほどの青色申告特別控除は、①のステップで必要経費を引いたあとの額から控除できる特別な金額です。
青色申告特別控除を引いたあとの額が「所得」となります。

この「所得」から、②のステップで、さきほど説明した基礎控除などの「所得控除」を引きます。
所得から控除できる金額なので、所得控除と呼ばれます。

所得控除には、基礎控除の他、社会保険料控除や寄付金控除があります。

iDeCoや国民年金基金に加入している方なら、その掛け金の額をこの②のステップで所得控除として控除することができます。

②の所得控除を控除した残りの額が、「課税所得」となります。

最後の③のステップで、「課税所得」に税率を掛けて税額を計算します。

この③のステップは、課税所得の額によって税率が変わる「累進課税」を採用しています。
累進課税というのは、課税所得の額を一定額毎に区分して、その区分の額に対して別な税率を掛けるものです。

たとえば課税所得が1,000万円だったとします。
この1,000万円を次のように、金額の小さい順に区分して、それぞれに別な税率を掛けます。
金額が高い区分ほど高い税率をかけるので累進課税といいます。

 

   1,950,000円  × 5%  =   97,500円
   1,350,000円  ×10%  =  135,000円
   3,650,000円  ×20%  =  730,000円
   2,050,000円  ×23%  =  471,500円
   1,000,000円  ×33%  =  330,000円
合計10,000,000円      税額1,764,000円

必要経費とは

税金は安くできるならなるべく安くしたいもの。
そのためには、上記②のステップで使える「所得控除」を最大限利用するのも一つの手です。

特に資産形成をしつつ節税ができるiDeCoはおすすめです。

ですがその前に、やはり上記①のステップで、必要経費となるものを漏らさず計上することが一番重要です。

では必要経費とは何でしょうか?

必要経費とは、収入を得るためにかかったコストです。

たとえばあなたがYouTuberとして個人事業を営んでいるのであれば、撮影にかかった機材、通信費、取材費用、画像作成を他の人に依頼した場合の外注費といったものが必要経費となります。

あくまで収入を得るためにかかったコストだけですから、事業であるYouTuberをやるのに関係のない費用、たとえばランチ代とか(YouTuberをやらなくても食べるので)、レジャーで行った旅行代などは必要経費にはなりません。

でも収入を得るためにかかったコストというのは、事業の内容ややり方によっても違ってくるわけで、そこまでが必要経費なのかなかなか判定が難しいものもあります。

必要経費になるからならないかは、税額に直接響きますから、多くの個人事業主がここで結構悩むわけです。

これは必要経費として落ちる?それとも落ちない?

ではここで、必要経費となるのかならないのか、よく悩む代表的なものをいくつか取り上げてみましょう。

なお必要経費になるかならないかは、ケースバイケースの部分が多いので、詳しくは担当の税理士にお聞きください。

 

・借入金の返済

事例)銀行から借りていた100万円が返済期限を迎えて、普通預金から引き落とされた。この100万円は必要経費?

回答)必要経費にならない

これは迷うまでもなく、必要経費とはなりません。そもそも借入金の返済はコストではありません。

100万円お金を借りて、その100万円を返済しても、それは貸し借りを精算しただけで±ゼロです。

必要経費となるのは支払利息だけです。

 

・マンションの家賃

事例)賃貸マンションの自宅でYouTuberをやっている場合、そのマンションの家賃

回答)事業のために使っている部分の家賃は必要経費となる

たとえば2LDKのマンションを借りていて、一部屋を仕事部屋にしているのであれば、その仕事部屋の面積に対応する家賃は必要経費となります。

ではワンルームの場合は?

という疑問が出てくるでしょうが、その場合も<ここの面積は仕事で使っているんだ>という明確な基準を設けることができるのであれば、その部分だけは必要経費となります。

 

・メガネ

事例)仕事でパソコンを使い過ぎで目が悪くなったので購入したメガネの購入代金

回答)原則として必要経費とならない

メガネは視力の矯正として事業以外でも日常生活で使うものです。したがって一般的にはメガネの購入代金は必要経費とはなりません。
ただし事業上特別なメガネが必要なこともあるでしょうから、厳密にはケースバイケースです(医療費控除となるケースもあり)。

 

・レシートしかない場合

事例)仕事で使う文房具を買ってレシートをもらいました。でも手書きの領収書をもらうのを忘れました。この場合、文房具代は必要経費になる?

回答)レシートがあれば必要経費となります。

レシートというのは「領収書」の英語名です。日本では手書きのものを「領収書」、レジから打ち出されるものを「レシート」として区分する習慣がありますが、法律上は違いはありません。

必要経費として認められるには、支出の証拠を残す必要がありますが、その証拠が「領収書」や「レシート」なわけです。

手書きの「領収書」には、宛名を書いてもらうので、必要経費と認められやすいだろうという発想から「領収書」をわざわざ書いてもらう習慣ができたのでしょう。

でも「レシート」には、日付や商品明細が書かれているので、場合によっては手書きの「領収書」よりも強力な証拠となり、むしろ「レシート」のほうがいい場合が多くあります。

 

以上、今年の確定申告についてでした。
その他、詳しくは国税庁のホームページなどを参照して、賢く、かつ適正に節税してください。

No.2210 やさしい必要経費の知識|所得税|国税庁

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