スマホゲームの世界市場

スマホゲーム 経済の教室

世界のゲーム市場は、スマホゲームを中心に拡大傾向になります。

しかしプラットフォーマーとゲーム業界との争いが勃発し、今後の行方が見えません。

世界のスマホゲーム市場

世界のスマホアプリ市場は、今年2020年の1月から6月までの上半期でおよそ5兆円で、その7割がゲームとなっています。


つまり、スマホゲーム市場はこの上半期だけで3.5兆円にもなります。
しかも前年同期比で21%も増えています。

これはコロナによるステイホームも大きく影響したのでしょう。

SensorTowerという調査会社の発表では、売上世界1位のゲームはPUBG MOBILE。
日本でも流行しているフォートナイトや荒野行動と同じバトルロイヤル系のゲームです。

人って、闘うことが好きなんですね。。。

日本勢としては、3位にモンスターストライク、9位にFate/Grand Order、10位にポケモンGOが入っています。

1位のPUBGが韓国、2位のHonor of kingsが中国、3位が日本のモンストですから、世界のゲーム市場では日中韓が大活躍しています。

https://sensortower.com/blog/app-revenue-and-downloads-1h-2020

プラットフォーマーとの闘い

そのスマホゲーム業界での話題は、なんといってもフォートナイトを運営しているエピックゲームズがAppleと訴訟問題になっていることでしょう。

事の発端は、フォートナイトがメガプライスダウンというセールスを実施したことです。

その条件がアップルのApp Storeを通さないで、エピックダイレクトペイメントを使うことでした。

これがApp Storeの規約に反するということで、ゲーム配信が停止されました。
Googleも同じ理由で配信停止しています。

App Store を使って課金すると、課金額の30%の手数料が取られます。

ところがApp Storeを使わずに独自の決済システムであるエピックダイレクトペイメントを使って課金されてしまうと、Appleにはお金が入りません。

したがってAppleは規約により、iOS上で動くゲームのようなコンテンツアプリに対して、App Storeを使って課金することが義務づけられています。

この規約に反しているので、Appleはフォートナイトを配信停止したわけです。

(なお、iOS上で動くコンテンツではない通販などのアプリの場合、App Storeで課金する必要はありません)

30%は妥当?

エピックゲームズ側が問題としているのは、App Storeの30%という課金手数料です。

App Storeは決済代行の役割も果たしていますが、たとえばソフトバンクペイメントサービスのような決済代行会社の手数料は数%程度、これにクレジットカード会社の手数料を加えても、7~8%が普通です。

これに対してApp Storeは30%。あまりにも高い、というのがエピックゲームスの主張です。

実はこの30%という手数料率、始めたのは日本のゲーム会社だといいます。

日本にも任天堂のファミコンやDS・Wii・Switch、ソニーのプレイステーションというゲームプラットフォームがあります。

この日本のプラットフォーマーが、サードパーティー製のゲーム会社に30%という手数料を課したのが、30%という手数料率の始まりだとされています。

パソコンの場合

フォートナイトはスマホアプリが配信停止となっていますので、新しくフォートナイトを始めるなら、パソコンとかプレイステーションになります。

ここで改めて考えてみると、パソコンの場合はAppleやマイクロソフトに利用料を払う必要がありません。

パソコンのソフトは、好きなお店から買って、それを自由にインストールできます。

スマホのプラットフォーマーがAppleとGoogleであるように、パソコンのプラットフォーマーはApple(Mac)とマイクロソフト(Windows)です。

スマホもパソコンも、2つの企業により寡占状態となっていますが、スマホは30%課金され、パソコンはそれがないというのは、なんとも不公平のような気がします。

だからパソコンと同じにしてくれと、エピックゲームズは主張しているわけです。

ただし、もともとスマホの課金手数料をApp Storeの規約で定めたのは、パソコンのソフトに課金できなかった反省からだといいます。

プラットフォーマーとしての収益を確保しておく、というのはある意味合理的な発想ですね。

GAFAに対する反トラスト法の影響は?

しかし、先日の10月6日に、米議会下院司法委員会より、GAFAの独占を懸念する調査報告書Investigation of Competition in the Digital Marketplace)が出ました。

そこにはGAFAに対して、事業の分割や事業を制限する立法を検討することを推奨するなど、かなり厳しい内容が書かれています。
高額な課金手数料を課していることも問題視されています。
(調査報告書の要旨についてはプレスリリース(英語)を参照してください)

GAFAという独占企業が、その力を使って市場の競争を阻害していることに、米議会(特に民主党)は大きな懸念を示しているのです。

さらにエピックゲームズやSpotifyらが集まって、「Coalition for APP Fairness(アプリ公平性のために連合)」という協会を設立しました。

Appleとエピックゲームズという1企業同士の争いではなく、アプリ業界(&米議会)VSプラットフォーマーという大きな争いになってきたといえます。

今後、ゲーム業界が大きく変わるかもしれません。

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