AKB48のグローバル展開 前半

アイドル 経済の教室

AKB48グループは、タイやインドネシア、インド、ベトナムなどアジア各地に存在ます。

しかも日本のアイドル文化をそのまま現地に移植するという、グローバル展開としては稀な手法を採っています。

この記事では、ハーバードビジネススクールの教科書に載っている「AKB48のグローバル展開」というケーススタディをもとにお話しします。

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タイで社会現象になったBNK48

タイにはBNK48があります。

タイ、バンコクを拠点とするAKB48グループです。

このBNK48が歌うタイ語での「恋するフォーチュンクッキー」は、タイの社会現象にまでなりました。

曲名も原題の「Koisuru Fortune Cookie」をそのまま使っています。

そしてのYouTubeでの再生回数は・・

本家のAKB48が・・・・1億9千4百万回(2020年9月24日現在)

タイのBNK48が・・・・1億8千6百万回(    〃    )

と、BNK48が本家に迫る勢いです。

AKB48が恋するフォーチュンクッキーをYouTubeにアップしたのが2013年10月、BNK48が2017年11月ですから、勢いはBNK48のほうがあると言えます。

しかも人口は日本が1億2千万人、タイは7千万人ですから、それでこの数字はまさに社会現象です。

ハーバードビジネススクールで取り上げられる

そのタイと日本の学生がAKB48のレポートを出したことがきっかけで、海外戦略が専門のアルカーセル教授が中心となって「AKB48のグローバル展開」というケーススタディが書き上げられました。

ケーススタディというのは、実際の事例を取り上げて詳細に分析し、そこから他でも応用できるようなコアな要素を見いだす勉強方法をいいます。

ハーバードビジネススクールといえば、世界で最も優秀なMBA(経営大学院)です。
そのハーバードでAKB48という日本のアイドルグループが取り上げられたのですから、快挙です。

「AKB48のグローバル展開」は、「国際競争戦略」の授業で用いられています。

AKBのビジネスモデルには3つの収入の柱があります(数字等は「AKB48のグローバル展開」に書かれいてるもの)。

・劇場収入:およそ2億円
・CD、DVD:およそ200億円
・広告:およそ5億円

CD・DVDという世界的には減少傾向にあるPhysical CD(物理的なCD)が大きな比重を占めるのが特徴です。

2019年の音楽市場は

Physicalは21.6%
サブスクリプションが広告モデルを含めて56.1%

とスマホなどによるサブスクリプションが過半数を超えています。
(「Global Music Report The Industry in 2019」IFPIより)

日本のCD産業は、AKB48などアイドルグループが支えていると言えます。

日本のフォーマットをそのまま輸出

AKB48を世界展開するにあたって、日本のフォーマットをそのまま現地に移植する方針をとりました。

特にオーディションの選考基準としてあることにこだわったそうです。

それは

審査員が一人でも高得点を出した場合、合格させる

というものです。

AKB48総監督の向井地美音さんに話を聞くと、自身のオーディションのとき、このことはうわさとして知っていたそうです。

AKBの一番の面白さは、「私も受かるかもしれない、私だって受かるわ」というところだという秋元康氏のインタビューもあります。

さらに日本のフォーマットとしてもう一つ、メンバーが成長していく様子を見てもらう「リアリティショー」の要素もそのまま現地に移植しました。

このリアリティショーの要素を強調するために、秋元氏がとった戦略は、「予定調和を避けること」です。

たとえばメンバーには原稿なしで舞台上でトークさせる、うまくいくと思った企画は何でも試す、ことらしいですが、向井地美音さんはこのことにはかなり納得していました。

確かにAKB48は、「豆腐プロレス」でプロレスラーをやったり、「マジすか学園」でヤンキーをやったりと、アイドルとしての予定調和を壊すことに挑戦し続けていましたね。

最初はインドネシアから

AKBを世界展開するにあたって、最初に候補に挙げた国は6カ国(5カ国と1地域)あります。

それは韓国、中国、台湾、インドネシア、タイ、フィリピンです。

実はタイが最初の候補だったのですが、タイはその頃ちょうどクーデターがあったりして、タイミングがうまく合わず、企画をスタートできずにいました。

そこで代替地として候補に挙がったのが、インドネシアのジャカルタです。

インドネシアではアイドルグループがそれまで存在していませんでしたが、人口が2億6千万人の大市場です。

しかも2050年にはGDPが日本を超えて世界第4位になると予想(「2050年の世界」2016年版PwC)されているぐらい、これからの発展が予想される国です。

2011年、そのインドネシア、ジャカルタにJKT48が誕生します。

AKB48の初のグローバル展開です。

しかし日本の文化をそのまま移植するには大きな困難もありました。
この続きは後半に。

コメント

  1. ラーメンご飯チップス より:

    ラジオ聞いて、経営学のケーススタディに興味が湧きました。

    経営学のケーススタディの研究結果などについて学べる本がもしあれば知りたいです!

    • 澤 昭人 澤 昭人 より:

      ケーススタディは授業で討論するための教材なので、本だけを読んでも、という感じもありますが、「名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継 01 経営戦略とマーケティング」とかはいいかもしれません。

      • ラーメンご飯チップス より:

        ありがとうございます。AKB48のグローバル展開買って読み終わったので、おすすめしていただいた本読みます!

  2. […] 前半はこちらから。 […]

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