近年、太陽光などの新しいエネルギーの能率が、指数関数的によくなってきています。
特にドイツでは40%がすでに再生可能エネルギーです。
そして、この再生可能エネルギーによって、資本主義経済が終わりを迎えるのではないか、という議論が盛んにされるようになってきました。
なぜ再生可能エネルギーが普及すると資本主義経済が終わるのか、簡単に説明します。
資本主義経済とは
資本主義経済を一言で言うと、「道具を持つ資本家と、もたない労働者によってなりたっている経済」です。
詳しくは別記事「資本主義経済って、なに?」をご参照ください。
ポイントは、動力源などの道具をもつものが資本家になるという点です。
第1次産業革命の時は、蒸気機関という動力源が発明され、これを購入できる資本家とできない労働者に分かれました。
第2次産業革命では、石油による火力発電が蒸気機関に取って代わられます。石油の採掘には莫大なお金がかかるようになるので、いわゆる石油メジャーと呼ばれるような、大資本が誕生します。
こうなると動力源という道具は、市民からはさらに遠い存在となりました。
これは原子力発電でも同じです。
でも、それが現代になり変わりつつあります。
再生可能エネルギーが登場したのです。
再生可能エネルギーの登場
再生可能エネルギーとは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマスなどの自然の力を利用して得られる動力源です。
ヨーロッパでは、2050年には発電量の100%を再生可能エネルギーで賄うことができる、という研究予測もあります。
では日本の再生可能エネルギーはどうでしょうか?
日本は「水の国」です。
年間降水量は世界平均の2倍もあります。
しかも日本の川は急勾配(落差が大きい)であることが特徴です。
水力発電にはもってこいの国なのです。
日本を「風の国」と呼ぶ学者もいます。
季節風が吹いてしかも地形が複雑なので、強風が吹く地域がたくさんあります。
風力発電にはもってこいの国なのです。
日本は「火の国(火山の国)」でもあります。
火山の国なので地熱の資源量では、アメリカ、インドネシアについで世界第3位です。
しかもこの三カ国だけ桁違いに多い。
地熱発電にはもってこいの国なのです。
日本は太陽光の日照時間だけは上位には入りませんが、総合的に見て、再生可能エネルギー先進国であるドイツよりも9倍以上の資源量があるとされています。
指数関数的に効率がよくなっている
この再生可能エネルギーの効率が、近年になり指数関数的によくなってきています。
たとえば風力発電量は、1980年代では世界の電力供給量に占める割合はわずが0.01%でした。これが10年後の1990年代には0.1%となり、さらに10年後2010年代には1%に到達しました。
わずか20年間で100倍になったのです!
その効率は、今でも効率はどんどんよくなっています。
日本でもこの傾向は同じで、日本の再生可能エネルギーの発電量は、現在は全体の18.5%ですが、5年前は12%だったので、5年で1.5倍に増えています。
この調子で続けば、2040年には9割以上を再生可能エネルギーで賄えることになります。
再生可能エネルギーは誰でも手に入る道具
ここで一番重要なのは、再生可能エネルギーのための機械、つまり風車のような道具の価格は、石油や原子力に比べれば遙かに安いことです。
さすがにどんな大富豪でも、1人で原子力発電所1基を買うのは無理があります。
でも太陽光発電や風力発電の機械なら、普通の市民が買うことができるのです。
実際、太陽光パネルを持っている方も多いのではないでしょうか。
ドイツでは、再生可能エネルギー(容量)の40%を一般市民が所有しています。
その地域の市民がお金を出し合って協同組合を作り、再生可能エネルギーの機械を所有しているのです。
その結果、近い将来、資本主義経済が終わるのではないか、という議論が出てきました。
資本主義経済の終焉
なぜなら、それまで資本家に独占されていた動力源という道具を、市民が取り返すことができる可能性がでてきたからです。
このことによって、動力源という道具を一般市民が資本家から奪い返すという、新たな革命が起きる可能性があるというわけです。
一般市民が再生可能エネルギーという道具を手に入れれば、道具を持つ資本家と持たない資本家という資本主義経済の図式が崩れます。
その結果、資本主義経済が終焉を迎え、「協働主義経済」という新たな経済が生まれると予測する学者もいます(ジェレミー・リフキン)。
今、私たちは時代の大転換点にいるのです。
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