世界に「○○の父」と呼ばれる人はたくさんいます。
「近代科学の父」と呼ばれるあの世界的な有名人は、実はある別なことでも功績を残しています。
ではその前にまず、「日本資本主義の父」といえば、ずばり誰のことでしょうか?
日本資本主義の父
答えは「渋沢栄一」です。
新しい1万円札の顔でもあり、来年2021年の大河ドラマの主役でもありますね。
なぜ日本資本主義の父と呼ばれるかは、日本に株式会社という制度そのものを根付かせた功績が大きいと言えます。
しかも自分でも500以上の株式会社の設立に関わりました。
東京証券取引所を作ったのも渋沢栄一ですし、東京瓦斯、帝国ホテル、東京海上火災保険、札幌麦酒、石川島造船所、京阪電気鉄道など、現在でも大企業として残る多くの企業を渋沢栄一が作ったのです。
では次に「近代科学の父」といえば誰でしょう?
ヒント:

近代科学の父
答えは「ニュートン」です。
ヒントのma=Fは運動方程式、

は微分、積分を意味しています。
ニュートンと言えば、リンゴが木から落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見したことで有名ですが、これは天体の動きを予測するために考え出されたものです。
リンゴも天体も、ありとあらゆる万物は引き合う力を持っている、というのが万有引力の法則です。
それまでは地上と宇宙では全く異なる物理法則が成り立っていると考えられていたので、このニュートンの発想は画期的だったのです。
なお当時ヨーロッパはペストが流行しており、ニュートンが通っていたケンブリッジ大学も閉鎖されます。
このためニュートンは実家のウールスソープに戻っていました。
実家でニュートンは万有引力だけではなく、微分積分という後の「産業革命」にもつながる基本的なアイデアをまとめたと言われています。
現在も新型コロナにより世界の大学はオンラインが中心であり(2020年8月現在)、誰かがどこかで歴史に残るような発見をしているかもしれませんね。
では次に「近代経済学の父」とは誰でしょうか?
ヒント:「神の見えざる手」(本当は「神の」はつきません)
近代経済学の父
答えは「アダム・スミス」です。
アダム・スミスは「国富論」という書籍などで有名な哲学者・倫理学者・経済学者で、「自由主義経済」の基礎を作った人です。
「(神の)見えざる手」というのは、規制を排除し、自由な市場経済に任せていれば、人は自分の利益のために合理的に動くから、その見えざる手によって結果として国は富むことになる、としたものです。
国富論が書かれた当時(1776年)、イギリスは産業革命に沸いていました。
1765年のリチャード・アークライトによる水力紡績機の発明、そして1769年のジェームズ・ワットによる蒸気機関の発明(厳密には改良)という動力源の革命により、人々は動力源という道具を持つ「資本家」と、持たない「労働者」に分かれたのです。
つまり、資本主義経済の誕生です。
アダム・スミスは、この産業革命時に、分業や資本投下の重要性を説きました。
これにより、近代経済学の父、と呼ばれます。
しかし、実は近代経済の土台を作ったのは、ニュートンとも言えます。
近代経済学の父はニュートンでもあった?
なぜなら、ニュートンの微分積分により、歯車の精密な動きを予測して設計図に落とし込むことができるようになったからです。
蒸気機関は、ピストン運動を回転運動に変換して機械を動かすことになります。
ですから歯車の精度は非常に重要です。
ここに微分積分が使われたのです。
では微分積分とはなにかを簡単に説明しましょう。
自動車の動きを想像してください。自動車の動きは、外から観察していても1時間でどれだけ移動したかはデータ化できますよね。
そのデータをグラフ化してみます。

ここでXという ある時間の自動車の速度を知りたいとします。
なぜならその時の速度を知ることができたら、数秒後の自動車の位置を予測できるからです。
ここに“微分“が活用できます。
つまり微分とは、動いているもののデータから、将来の動きを予測することに使われるのです。

この微分が出てきたことよって、たとえば歯車の動きを予測して、精密な設計に落とすことができるようになったわけです。
ですから、近代経済学の父とはニュートンである、と言ってもあながち間違えではないことになります。
ニュートンの意外な功績
そしてそのニュートン、実はイギリスの「造幣局長」もやっています。
お金を刷る造幣局です。
学生時代、知人にお金を貸して儲けていたという逸話もあるニュートン。
実はお金が大好きだったんですね。
そしてニュートンは、金と銀の交換比率である1:15.21(金銀比価)も定めています。
このためこの比率をニュートン比率とも言います。
この比率は以後、約200年にわたって使われます。
以上、近代科学の父 あの有名人の意外な功績でした。
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