大学では教えない裏ゼミシリーズ
この記事ではFXは危険なのか、安全な始め方はないのか、についてお話しします。
結論から先に言うと、FXはリスクが高い金融商品ですが、問題なのはリスクが高いにもかかわらずその商品の特徴を知らないまま始める人が多いことにあります。
教習所に通わずにいきなりフェラーリに乗って高速道路を突っ走るようなもので、取引の始め方がマズいのです。
なお私はマネーパートナーズというFX業者の社外役員を10年以上やっておりましたが、2019年に退任しています。今回の記事は中立的な観点から、そのときの経験と知識に基づいて書いています。
FXを始めるに当たってやるべきこと
投資初心者には、次の3ステップを踏むことをお勧めします。
1.「価格」の特徴を知る
2.デリバティブであるFXに合っているやり方を考える
3.トライアンドエラーを繰り返す
この3ステップができるようになれば、危険な賭けではなく、「投資をしている」という実感を味わえるはずです。
今回の記事ではまず、ドル円という為替相場の特徴を、株式相場や金相場と比べてつかんでみましょう。
1ドル100円などという為替の「価格」にどんな特徴があるのか、をまず知ることが何よりも優先されるべきことです。
商品の違いをまずつかむ
投資、と呼ばれるものには、大きく分けて2つあります。
実物のモノがある現物取引と、実物のモノがないデリバティブ取引です。

証券会社で購入する上場会社の株式や、田中貴金属などで買う金(Gold)は現物取引です。
これに対して、FXはデリバティブ取引です。
デリバティブは現物を売買しているわけではありません。ドル円などの為替相場の「価格の動き」だけを投資対象としていると考えてください。
価格の動きだけを投資対象とするなんて、まるでギャンブルのようですが、そこがFXは危険と思わせる一因になっているかもしれません。
しかし、そもそもデリバティブは、現物取引のリスクをヘッジ(回避)することを目的に考え出されたものです。
リスクヘッジのための手段として登場したデリバティブですから、決して危険なものではなく、ようは使い方です。
それにドル円や金の現物を投資のために購入しようとするなら、それなりの大きな額をまず用意しなければなりません。一部の富裕層しかできない取引なのです。
デリバティブはそれが少額でも取引できるという「取引の民主化」にも役立っています。
デリバティブの基本
デリバティブにはFXの他に、株式の先物取引、金のCFDというものがあります。
たとえば金CFDは、金そのものを取引するのではなく、「金の価格」をもとに、その価格で買う権利や、売る権利を購入することになります。
買う権利とか、売り権利とかは、たとえばこんな感じです。
金の価格が下がると予想しているのなら、今の価格で売る権利(売りポジション)を建てて、実際に価格が下がったらそれを決済(ポジションを手放す)して利益を確定します。
現物取引では、まずモノを買うことから始めなければなりませんが、デリバティブは最初に売りから入ることもできるのです(売りポジションは売り玉ともいいます)。モノを買っていないので「ポジションを建てる」という言い方をします。
逆に金の価格が上がると予想しているのなら、今の価格で買う権利(買いポジションまたは買い玉)を建てて、実際に上がったら決済して利益を確定します。
金CFDで見るデリバティブの取引例
今、金の価格が2,000ドルだったとしましょう。将来下がると考えたので、今のうちに2,000ドルで売れる「売りポジション」を建てます。その後1,900ドルまで下がったら、その売りポジションを決済して差額の損益を確定します。これで100ドルの利益が確定します。
2,000ドル-1,900ドル=100ドル
つまりCFDは売りと買いの差額だけで損益を確定させるのです。
このためCFDは差金決済取引と呼ばれます。
FXは金CFDの為替版だと思ってください。つまりFXも差金決済取引なんです。
1ドル100円といった為替の「価格」で売る権利や買う権利を建てたり決済したりするのがFXです。
ではそんなFXの「価格」には、どんな特徴があるのか、株式、金と比較しながら見ていきましょう。
アメリカ株と金は「右肩上がり」
株式は、インフレ時には右肩上がりになります。逆にデフレでは右肩下がりです。理由はここでは省略しますが、アメリカは1980年以降、2%前後のインフレを保っていました。このためダウ平均株価はきれいに右肩上がりです。
金も、資源が限られていることから右肩上がりになります。
金の埋蔵量は約5万トンと予想されていて、競技用プール1杯分しかありません。しかも金は装飾用だけではなく、工業用にも使われており、時が経つにつれて貴重になっていきます。
したがって金は右肩上がりとなりやすいわけです。

これに対して日本はインフレ率1%未満の年も多く、日経平均株価はバブル時の3万8千円を超えられずにいます。つまり右肩上がりとはなっていません。

FXは「波」
ではFXはどうなっているかというと、ドル円為替相場はドルと円の力の関係で価格が決まるので、長期的な幅に右肩上がりとか右肩下がりとかの関係を見いだすことはできません。
その代わり、ドル円は波のように上がったり下がったりしている、という特徴があります。
つまりドル円の特徴は「波」なのです。

この特徴をつかんで、それぞれにあった投資の仕方をしなければなりません。
今回の記事はここまで。
これ以降についてはまた別記事を書きます。
※FXはハイリスクな投資商品です。損をする場合もあります。必ず自己責任で投資してください。FXで必ず儲かる手法など存在しません。この記事はあくまでFXの投資スタンスを学ぶためものです。
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