なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界は変わったのか?

なぜカノ 書籍

本作は、(元)乃木坂46衛藤美彩さんが「複式簿記」が存在しないパラレルワールドに迷い込んでしまうという、SF仕立てのエンターテインメント・ビジネスノベルです。

そのパラレルワールドで唯一、複式簿記を知る存在となったヒロイン・美彩が、簿記・会計の知識とスキルを駆使して、様々な事件を解決に導きます。

その事件解決を通して、会計と資本主義経済の本質の迫ろうとした本です。

熱量溢れるストーリー

発売してから4年経ちますが、執筆している頃の熱量を今でも思い出すことがあります。

まさに<がむしゃらに書いた>本です。
「言葉が降ってくる」ということを私もこの本で初めて体験しました。

本の「はじめに」もその時の高揚感がストレートに出ています。

パラレルワールドを舞台としたSF仕立てにするという着想は、この企画が決まってすぐ電車の中で思いつきました。衛藤さんの第一印象が私にそういう発想を浮かばせたんだと思います。最初に書いた講義用の原稿は小説風でしたが、講義をしていくうちに戯曲風シナリオに全てを書き換えました。そのほうが衛藤さんの魅力を出しやすいと感じたからです。

乃木坂46のようなアイドルと仕事をするの初めてでしたから、夢中だったというのもありますが、それ以上に主人公が勝手に話し始める言葉を書き留めるのに精一杯だった、ことを思い出します。

設定をやや複雑にし過ぎたという反省はありますが、それは熱量の多さがなせる技とご容赦ください。
この熱量を下げてしまってはもともと成り立たない本だと思います。

その設定の複雑さも、「複式簿記のない世界」というパラレルワールドの謎解きの一つとして読んでいただければ作者としてうれしい限りです。

鹿鳴館が舞台

時代設定は明治時代です。

ただしこれも複雑なのですが、複式簿記がない世界であるため、時代は現代(当時は平成)ですが、明治時代程度にしか文明が進んでいないパラレルワールドです。

そして鹿鳴館がたびたび登場します。

鹿鳴館の時代の雰囲気をつかんでもらうため、衛藤美彩さんには三島由紀夫の戯曲「鹿鳴館」を読んできてもらいました。

その後衛藤さんは、舞台「三人姉妹」で貴族を演じますが、それを観て「やはり衛藤さんは貴族が似合う!」と心の中で叫んだものです笑

資本主義経済と会計の核心に迫る

 《仕訳》や《借方・貸方》という簿記の初歩から、《株式会社会計》の誕生、そして《クリーン・サープラス関係》という現代企業会計のトピックスまでという、簿記や財務会計の核心となる部分を戯曲のようなストーリーでわかりやすく説明しています。

ただし内容は複式簿記の核心に迫るものであり、かなり骨太です。

といってもテクニックの話ではありません。
資本主義経済の発展に会計がどのように関わったか、それを戯曲を通して感じ取っていただくことが最大の目的です。

本の評判

いままでの書評やブログなどを見ていて意外だったのは、理系の方の評判がいいことです。

たとえば工場で原価管理をされている方からは、この本を読んで会計の本質がようやく理解できたと高評価を頂きました。

戯曲というスタイルをとっていますが、理論の流れには細心の注意を払って構成したのが良かったのだと思います。

今後も理系の方、そして文系の方にも、読み続けていただければうれしい限りです。

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