幸せをお金で買う?(後編)

経済の教室

「幸せをお金で買う?(前編)の続きです。前編を読んでいない方は、こちらから。

今回も「『幸せをお金で買う』5つの授業」エリザベス・ダン/マイケル・ノートンから。

お金の使い方によっては、幸せを感じる度合いが全く違ってきます。
ちょっとした工夫で毎日が幸せになるためのお金の使い方、についてです。

 

不足は喜びの最良の友

マクドナルドのようなファストフードはお好きですか?

ファストフード店には必ず期間限定メニューってありますよね。期間限定メニューの方が人気があったりします。


この記事を書いている6月11日現在、マックはチキンタツタが限定メニューです。
モスバーガーは「ごちそうチリバーガー2種のチーズ」など毎週金曜日限定メニューというものもあります。
(モスバーガーは定番メニューの「モスバーガー」が一番美味しいと個人的には思いますが)

これってなんで限定するんでしょうか?
人気があるならずっと売っていればもっと儲かるかもしれません。

でも限定にして、“いつもは売っていない”、とするのが戦略なのです。

これは「スノッブ効果」を狙っています。

「スノッブ効果」とは、稀少なものほど人は欲しがるというるとマーケティング用語です。

たまに食べるからこそ喜びが増える、ということをうまく利用している販売方法です。

どんなにいい経験でも、毎日繰り返してしまったら喜びを感じる感性が損なわれます。
つまり慣れてしまいます。

だから、定番メニューの他に、限定にして、たまに販売する商品を揃えるわけです。
限定メニューを買ったときのお客の喜びは、定番メニューのときより大きいわけです。

たまに定番を買っておけばよかったと後悔することもありますが、
このような限定メニューの“ハズレ”を防ぐために、店側も工夫しています。

それは限定メニューの繰り返し販売です。

限定メニューで販売した商品のうち、人気のあった商品だけを繰り返し「限定メニュー」として販売するのです。
こうすれば限定メニューを買って、「ハズした」と後悔することが少なくなります。

モスバーガーの金曜日限定メニューなど、まさにこの戦略です。

 

ご褒美から距離を置け

限定メニューでたまにしか食べられない、このファストフード店の戦略は、まさに幸せになるためのお金の使い方を具体化した戦略です。

アメリカのマクドナルドは、人気メニュー「マックリブ」を、地域毎に期間限定で販売しては消え、また別な地域で販売しては消え、を繰り返しています。

このためマックリブが今どこで売っているかを追いかけるマックリブロケーターというサイトもあるぐらいです。

マックリブを追いかける楽しみさえ与えてくれる、まさに期間限定効果です。

人は欲しいものがなかなか手に入らないほど熱くなります。
しかもそれが決して高価なものではなく、買おうと思えばいつでも買えるものなのに、期間限定されているだけだで買うことができないとなると、もう欲しくてたまらなくなります。

そしてその欲しくてたまらなかったものを手に入れたときの喜びは、幸福感を最大限高めてくれます(それがただのハンバーガーでもです)。

スノッブ効果はそれほど効果的です。

このスノッブ効果を普段の生活に置き換えると、
好きなものを食べるという体験はたまにするのがいい!
ということです。

言い換えると
楽しみはご褒美にしてしまえ、
という戦略を生活に取り入れることです。

ここで、あなたはモスバーガーの定番メニュー「モスバーガー」が大好物だとします。ほとんど毎日食べるぐらい好きだとします。

しかし「モスバーガー」を毎日食べていては、その喜びは徐々に減っていってしまいます。
これを経済学的には「限界効用逓減の法則」などともいいます。

だから「モスバーガー」をたまに食べる、ご褒美にするのです。
そしてご褒美からは一定の距離を置きます。
たとえば1週間に1度しか食べない、と決めるのです。
金曜日限定メニュー「ごちそうチリバーガー2種のチーズ」のように、みずから定番メニューである「モスバーガー」を限定メニューにしてしまうのです。

こうすると、大好物である「モスバーガー」を食べるときの喜びは、今まで以上のものになります。

つまり、「ご褒美には距離を置く」ということを習慣化することが大事なんです。

そもそもご褒美が毎日じゃ、そんなのご褒美じゃないですよね。

普段は節約して、何かあったときにはおもいっきりご褒美にすることによって、喜びが増やして幸せになれるんです。
このことを示す研究結果もたくさんあります。

 

ケ消費とハレ消費

これは日本でいう「ケ消費」と「ハレ消費」と同じです。
日常の消費はケ消費で、普段と違う特別なイベントにお金を使うのがハレ消費です。

ケ消費とハレ消費のメリハリを付けることが、喜びを強く感じさせるお金の使い方なんです。

たとえば毎日の食事をハレ消費にして豪華にしてしまうと逆効果で、幸福感を低める結果となってしまいます。


インスタなどで豪華な食卓の写真を載せたりする芸能人などもいますが、それを毎日続けることは幸福感を高めるという意味では逆効果です。

ハレ消費はご褒美だから、少し距離も時間も置いて、たまにパッとハレ消費するのがいいんです。

普段はケ消費で、ご褒美からは距離を置いて、そしてたまに「ハレ消費」をすると、人はお金で幸せになれます。

普段はケ消費でお金も貯まるから一石二鳥ですね。

コメント

  1. ラーメンご飯チップス より:

    希少なものほど欲しがる(マックの期間限定)現象に名前がついていたとは驚きました。

    スノッブ効果!!!

    • ラーメンご飯チップス より:

      希少→稀少です。

      先ほどコメントしましたが、誤字してしまいました。

      すみません。

    • 澤 昭人 澤 昭人 より:

      バンドワゴン効果(勝ち馬に乗る、という意味から転じてiPhoneのように流行り物をみんなが欲しがる効果)と対をなすものですね。

タイトルとURLをコピーしました