ダブルアイリッシュ・ウィズ・ダッチサンドイッチ

カリブ海 経済の教室

この記事は、YouTube動画「ダブルアイリッシュ・ウィズ・ダッチサンドイッチの解説」の文字興しシナリオです。

YouTube動画はこちら
YouTubeを見てからこの記事を読んだ方が分かり易いと思います。

ダブルアイリッシュ

アメリカ

まずはアメリカ本国

アメリカ親会社ではコンテンツや製品の研究開発を行う

このままアメリカで全世界に向けて販売していれば、不公平感はなかったかもしれない

アメリカは税負担が28%ぐらいで決して高くはない

でもAppleやGoogleはそれをよしとしなかった

全世界

なぜなら世界にはもっと税負担がもっと安い国がたくさんある。

世界で販売するならそれを利用しない手はないと考えた

アイルランド

そこで目を付けたのがアイルランド

アイルランドの税負担はおよそ12%。アメリカの半分以下。

日本の税法上はタックスヘイブン対策税制の対象となる。

アイルランド子会社A

アイルランドに子会社Aを設立して、ここに

アメリカ

アメリカ本国で開発した知的財産権を

アイルランドA社

譲渡またはライセンス付与。

たとえばGoogleの検索システムなどの知的財産権、これをIPというね、IPはアイルランド子会社A社が権利を持つ。

アイルランド

これだけではなく、アイルランドにはもう1社設立します

アイルランドB社

アイルランド子会社B社を設立して

アイルランドA

親会社からA社が権利をもらっていたIPの利用権を

アイルランドB

B社に提供して、アメリカを除く全世界で販売する

A社はIPを持っているだけ、販売するのはB社

アイルランド

なんで2つも持つのかというと、理由は2つ

1つは、アメリカのタックスヘイブン対策税制から逃れるため

2つめは、アイルランドでも税金を払わなくするため

アメリカとアイルランド

まず1つめ。アメリカにもタックスヘイブン対策税制があって

これに該当してしまうと、アイルランド子会社の所得はアメリカ親会社の所得に合算されてしまってアメリカの法人税がかかる

それでは何の意味もない。

アイルランド

そこでアイルランドに2社つくり、

アイルランドB

B社はA社の支店扱いにすることによってアメリカのタックスヘイブン対策税制を回避することができる。

詳しくは省きますが、チェックザボックスルールという規程でこうすると対策税制の対象がとなる。

アメリカとアイルランド

これでアメリカの税金から遮断されて、安心して世界展開ができる

これでアイルランドの税金12%を支払っていれば、やっぱり問題は起きなかった。

でもAppleもGoogleもこれでは満足しなかった。

そこで登場するのが

カリブ海

この地域。左上がアメリカで下が南米。真ん中辺りがカリブ海。

ここに何があるかというと、

バミューダバージン

タックスヘイブンであるバミューダ諸島やバージン諸島

ここはタックスヘイブンの中でも税負担がほぼゼロのタックスヘイブンの中のタックスヘイブン。究極のタックスヘイブンなんですね

ここで何をするかというと

アイルランドA社

アイルランド子会社A社の経営管理、たとえば取締役会とか、そういう経営はアイルランドでは一切行わず、

バミューダバージン

このバミューダやバージンで行う。

実際の経営管理はタックスヘイブンであるバミューダやバージンで行う。

なぜわざわざこんなことをするのか?

というのは

アイルランド

アイルランドの法律では、アイルランド国内で経営管理を行わず、国外で行っている場合は、その会社はアイルランド法人ではなく、経営管理を行っている国の法人だと見做される

ということは、A社というのは

アイルランドでは経営管理を行っていないから、実際に経営管理を行っている

バミューダバージン

バミューダやバージンの法人ということになる。

そうすると、子会社A社で獲得した利益は、アイルランドの税金はかからず、バミューダやバージンでかかることになるけど、ここは究極のタックスヘイブン

税負担はほぼゼロ

だから

アイルランドA社

A社には税金がかからない

とすると

アイルランドB 

実際に販売をしているのはB社で、売上と利益が出るのはこのB社だよね。

じゃあ、B社の利益を、ライセンス利用料として、

アイルランドA

A社に全額払えばいいじゃん,ということになる

そうすれば

アイルランドB

B社は利益がなくなるからほぼ税金はかからない

アイルランドA

利益をライセンス料として移転しA社に利益が計上されるけど、ここは

バミューダバージン

究極のタックスヘイブンであるバミューダバージン法人だから、税金ゼロ

ほらこれで

アメリカアイルランド

税金がかからない仕組みができあがった

そして

アイルランド

アイルランドに会社を2つ作るから

ダブルアイリッシュっていうんだね

これを最初に考え出したのはAppleだと言われています

素晴らしい、とつい言ってしまうぐらい、よく考えたよね

でも、ここで終わらない

まだまだAppleやGoogleは貪欲。

というのは、

ダッチサンドイッチ

アイルランドB

アイルランドB社から

アイルランドA

アイルランドA社にライセンス料を支払わなければならい。

こことき、A社が海外法人であることがあだとなる。

A社は

バミューダバージン

バミューダバージン法人でしたね。

つまり海外法人。

海外法人にライセンス料を支払う場合、アイルランドの税法で20%の源泉所得税を差し引いて支払わなければならい。その20%は

アイルランドB

アイルランドB社がアイルランドに納めなければならない。これはやだよね。

せっかくここまでダブルアイリッシュとタックスヘイブンを駆使して税金ゼロの仕組みを作ったのに、源泉所得税がかかるなんて、もうこうなったら絶対許せない気がするよね。

そこで目を付けたのが

オランダ

オランダ。オランダはアイルランドと租税条約という条約を結んでいて、

アイルランド

アイルランドからオランダに支払うライセンス料には、源泉所得税をとらなくていいという規程になっている。

しかもオランダには国外へライセンス料を支払うときに源泉所得税を徴収するという規程がもともとない。

これはいいよね。

だから

アイルランドB

アイルランドB社から、ライセンス料を支払う場合、直接A社に支払うのではなく、

オランダに

オランダC

C社というペーパーカンパニーを作って、ここに支払い、

このC社から

アイルランドA

アイルランドA社に支払うというスキムにすれば、

ほら、源泉所得税も支払う必要がなくなった。

アイルランド

これで究極の節税スキームが完成。

2つのアイルランド法人に、オランド法人を挟むから

ダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチというだね。

以上がダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチの説明でした。

ここまでくると、もう感動すら覚えるかもしれない

そもそもこのような税金を払わなくいいという節税スキームができあがったのは、

やっぱり

バミューダバージン

バミューダバージンというタックスヘイブンがあったからだよね。

タックスヘイブンがなければ、税金をゼロにするということはさすがにできない。

おわりに

そしてこのダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチはAppleやGoogleだけではなく、たくさんの世界的な法人が使っている。

そしてこのダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチというのは一つのスキムであって、タックスヘイブンを使った節税スキームというのはたくさんある。

そしていろんな業種がそれを利用している。とくにファンド。ファンドはこういうスキムを使うのがむしろ当たり前になっている。

では、このダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチのようなスキムを各国の法律に従った適法なモノだからいいのではと判断するのか、

一種の法の穴をついた悪質な租税回避行為だとするのか、

あなた自身が自分のアタマで考えることが必要です。

そのためにも、まずはこのAppleやGoogleが採用した有名なダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチを理解して欲しいと思います。

以上、ダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチの解説でした。

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