幸せをお金で買う!?(前編)

経済の教室

お金と幸せ、古くて新しい話題ですね。

今回は、「『幸せをお金で買う』5つの授業」エリザベス・ダン/マイケル・ノートンの本を参考に掘り下げてみたいと思います。

この本は軽い語り口ながら、お金の使い方について深く考えさせられるものがあります。
変な精神論ではなく、アメリカやカナダの調査研究に基づいた心理学的の本です。

とくにステイホームが続く今、この本を読んで「幸せになるためのお金の使い方」を学ぶことは、お金の節約と心の健康を保つために非常に有意義だと思います。

紙の本は高いんですが、Kindleでしたら安く買えます。

※この記事はTOKYO FMの経済ラジオ番組「ジュグラーの波~澤と美音のまるっと経済学~」2020年6月4日放送回の原稿を元に加筆・修正したものです。

富は人の楽しみを奪う?

できればあらかじめチョコレートを用意して下さい。板チョコがベストです。

チョコレートが用意できたら下の写真を見てください。

30秒、じーっと眺めて下さい。

 

そして、30秒眺めたら、はい、チョコレートを食べてください。 

どうでしたが?

チョコレートはどんな味でしたか?どれくらい食べましたか?
自分の食べ方を振り返ってください。

 

カナダの調査研究では、札束を学生に見せたあとチョコレートを食べさせると、楽しむことなくパクパクと早く食べてしまう、という結果が出ています。

これは裕福な人ほど人生の小さな喜びを味わえなくなる傾向がある、という研究結果の一例です。

さらに人は実際に富を持っているだけではなく、富をちょっと思い出させるだけで、人生のささやかなご褒美を楽しめなくなるといいます。

お金はもっていると幸せになるどころか、逆に幸せではなくなるということでしょうか?

モノとしての資産より経験

皆さんの今までで一番大きな買い物はなんでしょうか?
それは今どうなっていますか?
買ってよかったと今でも満足していますか?

人はモノを買ったとき、買わなければよかった、という後悔が大きいといいます。

そう言う私も、新しもの好きなので新型のデジタルデバイスをつい買ってしまったりします。

Amazonなどで注文して届くまでは楽しみなんですが、いざ箱を開けて手でいじってみると、「これ、買う必要あったかな?」という思いに襲われることが多々あります。

多々というか、いつもです・・。

そんな私ですから、モノを買うということは、もしかすると幸福を妨げる要因になっているかもしれません。

「『幸せをお金で買う』5つの授業」には、自分が今持っているより「いい品物が手に入ることを知らなければ、手元にあるもので充分幸せを感じられる」と書かれています。

確かにどの家庭でも生活必需品はほとんど揃っているはずです。

新しいガジェットを手に入れれば、少しは便利になったりするかもしれませんが、それもその存在を知らなければ、今あるもので充分かもしれません。

物理的なモノを買うときは、「これを買ったら自分の時間はどう変わるのだろう」と、一度心で確認してみるのがいいそうです。

私もこれからそうしたいと思います。

 

そんな後悔を感じさせることが多い物理的なモノの買い物ですが、多くの人にとって人生の最大の買い物は、なんといっても「家」でしょう。

家を買うなら、やっぱり大きな家にしたいですよね。
小さな家より大きな家のほうがいいに決まっています・・・

と思うかもしませんが、大学の調査ではそうとも言い切れないみたいです。

小さな家に住んでいても、大きな家に住んでいても、全く幸福感には影響がないという調査結果があるんです。

家のような「モノとしての資産」は、時間が経つにつれて購入したときの喜びは薄れていくものだからです。

もちろん大きな家を買ったら最初は大きな喜びと満足感を得られるでしょう。
でもそこに住んで時間が経つと、その家はだんだんと生活の背景の一部と化してしまうのです。

つまり、慣れてしまうということですね。

そうなると最初の満足感はどこかに行ってしまって、小さいけど家族が住むには十分な広ささえあれば、大きな邸宅のような家にするんでいる人の満足感と、ほとんど変わらなくなってしまうのです。

 

じゃあ、やっぱりお金で幸せは買えないってことですか??

 

と思うかもしれませんが、この本の真骨頂はこれからです。

モノではなく経験を買う

みなさん、最近、高級レストランで食事したことはありますか?
その時の思い出を語ることができますか?
誰と一緒に行きました?
どんな会話で盛り上がりました?

食べ物はモノですから、食べたらなくなってしまいます。

でも高級レストランで食事をしたという思い出はずっとに残ります。

思い出に残るのが高級レストランであり、残らないのが普通のレストランといういいかたもできるでしょう。

つまり、高級レストランでの食事は経験なのです。

そして経験は、体験したあともずっと減ることがない自分の資産となります。

この先何年にもわたって楽しい気持ちで繰り返し語ることのできる思い出につながる経験は、減ることのない資産となり、幸福感をずっと高めてくれます。

そういう体験をするチャンスがあるのにそれをつかまなかったときの後悔は、モノを買って後悔したことよりも大きいといいます。

つまり、お金で何かを買うなら、モノではなく、何かを経験できるものにすると、幸せになれるんです。

お金で幸せになりたかったら、経験を買う、これが「『幸せをお金で買う』5つの授業」の結論です。

 

でも、その買い方にも一工夫必要です

その工夫をしないと、せっかくの体験が台無しになるといいます。

その工夫とは・・・

後編に続きます。

コメント

  1. […] 「幸せをお金で買う?(前編)の続きです。前編を読んでいない方は、こちらから。 […]

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