飲食店で1円でも利益を増やすために意識すべきこと

小さなレストラン 経済の教室

レストランや居酒屋などの飲食店を経営されている方で、アフターコロナ時代を生き抜くために意識すべきポイントは3つあると考えます。

・変動費固定費の見える化
・食材残り物のインパクト
・機会損失

これらを意識することが、1円でも多く利益を出す可能性を与えてくれます。

変動費と固定費を見える化する

小規模な飲食店のコンサルをしていると、店主(兼シェフ)はどうしても料理や来店者をふやすことばかりに四苦八苦していて、それ以外のことがおろそかになっているケースが多々見受けられます。

時間は限られているのですから、それも仕方がありませんが、新型コロナの緊急事態宣言によるダメージはこれからもボディーブローのように効いてくるはずです。

美味しい料理を出していればお客が来るいつ戻ってくるか、だれもわかりません。
ですから、今は守りの姿勢でも利益を出せる可能性を探るべきです。

そのためにはまず、
お店のコスト、つまり費用について、その性質から変動費と固定費に分けて考える必要があります。

変動費とは、売上に比例して発生するコスト
固定費とは、売上とは関係なく発生するコストです。

変動費と固定費については別記事「飲食店が意識すべき変動費と固定費」に詳しくありますので、こちらを参照してください。

ここで注意して欲しいのが、アタマで考えるだけではダメだということです。
かならず表にして、「見える化」することが大切です。

 

食材残り物のインパクト

変動費について、盲点が一つ。

食材費は料理の原価ですから、注文があればあるほど発生するコストです。

つまり変動費だということは誰でも分かると思いますが、単純に変動費だと考えているだけでは、思わぬ落とし穴に陥ります。

ここでお話することは、店主に説明すると誰しもアタマでは納得するのですが、なかなか意識して行動することができない盲点でもあります。

まず、1ヶ月の営業状況が次の通りだったケースを想定しましょう。食材費以外の費用は無視します。

1ヶ月の売上
  1メニュー800円×1,000注文=80万円

今月の食材仕入
  合計35万円(支払額で把握)

粗利益
  80万円-30万円=50万円

 

粗利益(あらりえき:売上から変動費である食材費を引いた額)を上のように計算して、そこで思考が止まってしまう店主が大多数です。

しかしここで思考が止まってしまうと、あなたのお店は利益を無駄に捨ててしまっていることになります。

なぜなら、上の例で計算した粗利益50万円は、あくまで最小限の粗利益であり、そこからさらに利益を増やす可能性が残されている数字だからです。

それが、使わずに残った食材費です。

 

月間の食材費として把握した30万円は、あくまで仕入の額です。
このうち、実際に料理して使った変動費は、使わずに残った額を引いた額となります。

たとえば使わずに残った食材の額が2万円だったとしましょう。

この場合、本当の変動費は当月仕入30万円-残った食材2万円=28万円となります。
従って本当の粗利益は、
80万円-食材費28万円=52万円です。

2万円利益が増えました。

しかしこのまま残った食材を捨ててしまえば、それが廃棄損という費用となり、結局利益は
売上80万円-食材費28万円-廃棄損2万円=50万円
と元に戻ってしまいます。

これが残った食材=在庫のインパクトです。

在庫のインパクトはどの業種にも当てはまりますが、飲食店の場合、廃棄までのサイクルが異常に短いので、そのインパクトも大きいわけです。

 

この理屈は、多くの店主がアタマでは分かっていると思います。

でも現実には売上80万円-仕入30万円=粗利益50万円と計算して、「今月は50万円の儲けか」と納得して終わってしまいます。

2万円の利益が失われているにもかかわらずです。

それは「食材費=仕入業者に支払った額」で把握してしまうためです。

もっと稼げる可能性があるにもかかわらず、数字で把握出来ないためにそこで思考が止まってしまうのです。

大手飲食店はこのあたりの在庫管理が徹底しています。

小さなお店でも大手と同じように残り物の金額をカウントすべきだ、などとはいいません。
時間がかかりそれこそ無駄だからです。

 

では個人経営のような小さな店舗の場合、どうすればいいのでしょうか?

 

機会損失を意識する

結論からいうと、機会損失を意識して最適な行動を素早くとる、ということです。

機会損失とは、ベストな選択をせずに失った利益のことです。

 

機会損失を意識するのとしないのとでは、お店がとる行動に差が出てきます。

 

たとえば残った食材2万円を、利益を一切乗せずに、お弁当にして原価で販売したらどうでしょう?

原価の販売ですから、お弁当販売では利益はゼロです。

でも、これにより在庫の廃棄をゼロとすればお店としては2万円の利益がでることになります。

もちろんお弁当にするにも工夫が必要です。
残り物を処分するためにお弁当を作ろう、などと思っても、そう簡単に売れるモノでもありません。

ですが、重要なのは原価で売っても在庫がなくなるのでその分利益が増える、ということを意識することです。

ここを意識しているお店と、してないお店は、価格設定ですぐ分かります。

実際、新型コロナによる緊急事態宣言でお弁当を始めたお店も多くありましたが、お弁当の中身はともかく、価格設定でやはり大きな差がありました。

 

これはランチ営業にも同じことが言えます。

多くのレストランや居酒屋では、ランチ営業自体はほとんど利益が出ません。

そもそも飲食店で一番儲かるのは飲み物あり、飲み物が全く出ないランチ営業は(在庫のことさえなえければ)やらないという選択肢をとるのがベストかもしれません。

しかしランチ営業しないという判断をしたことによって、食材を効率よく使い廃棄をゼロに近づければ出ていたであろう利益を失うことになります。

これが機会損失になるのです。
逆にいえばランチ営業しないという判断をしたことの機会損失は、ランチ営業をしてれば使い切れたかもしれない食材の廃棄損ということになります。

夜の営業=利益を出すための営業
ランチ営業=残った食材を効率よく使いきるための営業

なおランチ営業することにより店の宣伝になることを期待することもありますが、ほとんどの場合これは空振りになります。
ランチで来る客層と、夜の客層で全く異なることが多いからです。

  

以上、飲食店が1円でも多く利益を出すために意識すべきこと3つのポイントでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました