コロナ後東京から人はいなくなるのか? 3年前のラジオ放送から

nomado 経済の教室

この記事は「ジュグラーの波~なぜ衛藤美彩は数字で経済を学ぶのか~」2017年10月14日放送回の原稿を元に、今日の視点から見直したものです

 

2017年に放送したラジオでは、主に人生100年時代とAIによる自動運転が普及した後の働き方を予測した原稿を書いていました。

30分のラジオなのでほとんど放送できませんでしたが、その当時の未来予想と、現在の新型コロナ下の状況を比べると、今後の生き方の指針が見えるかもしれないと思い、この記事を書いてみました。

田舎で働く人が増えるのか?

多くの会社がZOOMやMicrosoft Teamsなどでオンライン会議をすることに慣れました。しかも1~2ヶ月の間に、急激にです。

かくいう私もZOOM会議は昨年1度だけでした。
それが3月に入り毎週必ずZOOM、hangout、SkypeとIT三昧です。

ラジオ収録でさえ、リモートですることに違和感がありません。

 

コロナ後は、この仕事のやり方が定着し
東京を避け地元の田舎に戻り、ノマドワーカーのように働くことが好まれるようになるのでしょうか

ノマドワーカーという言葉も、一気に定着しましたね。
遊牧民を意味する「Nomad」から来る言葉ですが、特定のオフィスを持たずに移動しながら仕事をする人のことを言います。

オフィスはあってもそこに縛られず、自宅やカフェなど自分の好きな場所で仕事をする人もこう呼ぶようになりました。

特に最近は田舎暮らしをしながらノマドワーカーになる人が注目を集めています。

  

私は東京に住んでいますが、オフィスに縛られないという意味でずっとノマドワーカーです。
ノマドワーカーになって、30年ぐらいでしょうか。

 

東京で働くことの固定費と機会費用を考えろ

TwitterやYouTubeでもノマドワーカーを薦めるものが溢れています。

特に多いのが、田舎暮らしのほうが固定費がかからず、いざというときの対処が身軽だという主張です。

一理あります。

 

事業を行う上で、固定費をいかに減らすかは社長なら誰でも考えます。

人生を生きるということは、自分を自分自身で経営していることでもあります。
ですから、生活の固定費をいかに減らすかは、絶えず考えなければならないことです。

普通の人にとって、人生最大の固定費は家です。
この固定費を減らす努力をしないのは、ある意味ダメな経営者の見本かもしれません。

 

さらに通勤という時間の機会費用も考えなければなりません。

会社まで通勤するということを選択したことによって、失ったものは、
よく考えると多大なものになるはずです。

機会費用を絶えず考慮することも、いい経営者の最低条件です。

あなたは自分自身の経営者として、この固定費と機会費用の問題を考えていますか?

それにいまさら満員電車に乗って会社に行くなんて、あまりにも馬鹿げています。

やっぱりこれからは、ノマドワーカーの時代でしょうか? 

果たして本当にそうなるのでしょうか?

 

3年前の予想は?

2017年10月のラジオ放送の原稿には、近未来予想として、次のようなことを書いていました。

世界の都市化が進むとともに、質の高いアイデアや高度なスキルの持ち主のそばに身を置くことの重要性が高まり、スマート・シティと呼ばれる「集積地(クラスター)」に人は集まってくるようになる

「LIFE SHIFT」リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット(東洋経済新報社)以下同様

 

これはリンダ・クラットンとアンドリュー・スコットによる「LIFE SHIFT」という本をまとめた内容です。

あの人生100年時代」を有名にした本です。

 

クラスターという言葉は、今ではあまりいい意味では使われなくなってしまいましたが、「LIFE SHIFT」では人の集積密度がますます増してくると予想していました。

 

「LIFE SHIFT」にはこうも書いてあります。

新しいテクノロジーにより物理的な距離が重要性を失い、私たちは自分の好きな場所で暮らせるようになると言われていた。しかし実際には・・「近さは」の価値はむしろ高まっている

アメリカのシリコンバレーのように高スキル層が集まるとことは、そのような土地でこそイノベーションが急速に進むので、人をどんどん惹きつけるというわけです。

集積地はそれこと磁石のように、優秀な人材を呼び寄せるのだ。集積地の規模が大きくなればなるほど、その町で働くことの価値が高くなる

これはサーチ理論の「分厚い市場」の効果とも呼ばれています。

 

これは前コロナ時代の東京の姿でもありました。
人口が減少しているにもかかわらず、東京の人口だけは増え続けまていました。

ではアフターコロナの世界でも、集積地(クラスター)に人は引き寄せられてくるのでしょうか。

自分も含めて、どうすべきなのか、生き方を見極める必要があります。
時代が大きく動き、パラダイムシフトしていることは確かです。

今までと同じ働き方では収入が得られなくなるかもしれません。

 

だからこそ集積地(クラスター)に引き寄せられるのか。

それとも自分自身の経営者として固定費と機会費用も考慮して
田舎暮らしのノマドワーカーになるのか。

決断の時が迫っているのでしょう。

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